
No.34 天才少年
ベン「焔の錬金術師の良い奴版か。」
リア「いえ、僕の場合は弾が無尽蔵ではありませんので・・・・・・マスタング大佐は尊敬しています。」
ヴィオラ「とはいえあいつも良い奴だよ。かなりの策士だけど。」
ベン「さて。遺跡探検と行きましょうぜ・・・・・・。」
石造りの階段を下っていけばそこは暗闇の迷宮。三人は電灯付きのヘルメットを被り、先に進んでいく。
先頭を切るのは一度足を踏み入れたことのあるリア、そして最後尾にベンが付く。
ヴィオラ「大したモンだよね、あたし達より年下なのに先陣切るってのは。」
ベン「ああ、相当こういう所は慣れてる口だ。遺跡ってのは大概侵入者を退けるトラップがある。
これまであいつが成功してるのは、そういったモンの探知経験もあるって事だろ・・・・・・大方な。」
リア「はい。それに、ライバルとなるならず者な同業者もいますからね・・・・・・。」
「パシュン、ボオオオオオッ!!!!!」
「ぐうおおおっ!!!!!???」
「バギドガバギ!!!!!」
「な、何でだ・・・・・・!!!!!」
壁伝いに弾丸を跳弾させ、素振りを見せることなくベンの後方を狙撃する。
それに気づいたベンも、後方の気配を殺していた敵を殴り倒す。
ヴィオラ「・・・・・・おしゃべり禁物だね。」
ベン「って事になるか・・・・・・よく気づけたな。」
リア「会話は大丈夫ですよ。後方もカバーしています。
どうやら・・・・・・気付いていないと思って油断していたようですね。」
ベン「気付いた・・・・・・お前が?」
リア「ええ、周囲半径20m以内程度なら、探知可能です。」
ベン「すげぇな・・・・・・レーダー持ってんのか?」
「バシュッ、ボオオオッ!!!!!」
リア「僕は両親はアメストリスの人間ですが、生まれたのはシンなのです。
そこで8歳まで暮らし、その間に多少体術の類も習いまして。
その中に、気の流れ、生体の探知の分野が組み込まれていました。」
ベン「成程、狙撃能力とは抜群の相性だぜ。」
「パシュパシュパシュン。」
リア「あいにく体術と錬丹術の才能はありませんでしたが、錬金術には向いていたようで・・・・・・。
2年前、僕が13歳になってから、両親の後を継いで遺跡調査の仕事を始めました。
父も母も、遺跡の調査中に行方不明になったみたいで・・・・・・。」
ヴィオラ「怖くないのか?」
「バギ、ドガァッ!!!!!」
リア「慣れました。遺跡で行方不明になると言えば生きてはいないでしょう。
覚悟は決めています。遺跡の調査を終わらせれば、盗掘者もきっと少なくなります。
僕は・・・・・・世界の辿った真実の歴史が如何なる物かを知りたいのです。」
それぞれ喋り合いながらも、リアの気の流れを探知した狙撃、
それに追撃するようにベンの打撃で息を合わせ、襲い来る敵を退ける。
リア「創世の書もそのひとつです・・・・・・メノスの歴史は6冊の書しかなかった。
しかし、史実は違った・・・・・・きっと隠された歴史があるはずです。」
ベン「なあ、ロストエイジコレクションって信じるか?」
ヴィオラ「あれねぇ、今じゃ絶版だったっけ。」
リア「・・・・・・この世界に消えた史実があるならば、有り得るでしょう。
空を飛んだと言われる戦闘機、錬金術とは違う魔術。
人の手無しで傷を癒す機械・・・・・・どうしてそこまでの文明が滅んでしまったのか。」
ベン「・・・・・・行き過ぎた文明は世界を滅ぼせるほどの争いを生む。それだけさ。」
リア「一理ありますね。」
ヴィオラ「そうだね・・・・・・どこかで使い方を間違えるんだ。生体錬成って奴も同じだよ・・・・・・。」
ベン「・・・・・・合成獣か・・・・・・あいつらの意識は・・・・・・魂はどこに行くんだろうな・・・・・・。」
ヴィオラ「そんなに深く考えすぎても癪だよ。」
リア「止まりましょう・・・・・・ヴィオラさん、一発お願いできますか?」
ヴィオラ「あいよ!!!」
ベン「滑るなよ。」
「シュゥッ・・・・・・ドゴオオオオオッ!!!!!」
前方目掛けて爆炎を放つグレネード弾を投げつけた。
足元には落とし穴に加えて、妙な細い穴がいくつも掘られている。
距離もかなり長く、壁伝いの移動は難しそうである。
ヴィオラ「滑ったら全員自滅だ。」
ベン「そーですね。」
リア「さて・・・・・・再び埋め立てられた新しいトラップでしたね。
気を付けてください。こういう場合、隠し通路がありますが・・・・・・。」
「バダン!!!!!」
ベン「・・・・・・敵さんも分かってるからな。こっちは待ち伏せ食らう側だ。」
リア「ここから先は僕も地理を存じていません。確実に不利です。」
ヴィオラ「こういう場合はあたしに任せな。炙り出してやるから。」
リアは軽く周囲の石壁を叩いて、ある一面が作り物であることに気付いた。
恐らくはそこが正しい通路へ続く扉、だが待ち伏せが予想される。
先陣を切る段取りを決め合い、ベンが拳を構える。
「バゴオオオオオッ!!!!!」
「(来やがった!!!!!)」
ヴィオラ「そぉらぁぁぁっ!!!!!」
「ドドム、ドム、ドム・・・・・・ブシャアアアアアァァァァァッ!!!!!」
壁が破壊されると同時に、待ち伏せていた先兵がマシンガンを構えた。
しかしヴィオラは細い通路を利用して壁を跳ね回るように爆弾を投げつける。
ドクロのプリントがされた爆弾からは、様々なガスが放たれ、相手の攻撃を緩める。
リア「上手いです・・・・・・。」
「バシュン、パン、パン・・・・・・。」
「ぎょおおおっ!!!ぶぼわあっ!!!ぎゃあああっ!!!」
ベン「ボウズ・・・・・・あまり強過ぎてあっけねぇな。」
リア「無い事がありがたい事は多々あります。確実に進みましょう。」
ヴィオラ「そうそう。何があるか分からないんだから。」
その後もベン一行はリアの気の探知力、狙撃性能に助けられる。
年上であるベンもヴィオラも、なかなか出番は回ってこない。
ベン「・・・・・・おっさん、いなくても十分じゃなかったか?バギー自力で操作するわ、万能射撃だわと・・・・・・。」
リア「いいえ、僕だけでどうこうできたら前回の探索1回でなんとかなりました・・・・・・。
確かに気配は感じましたが、ネルヴォの村に襲撃が入ったとは・・・・・・。」
ヴィオラ「確かにね、あんたが急に戻ってくれたおかげで・・・・・・。」
ベン「なあ、陽動ってのはありえねぇか?」
リア&ヴィオラ「・・・・・・陽動・・・・・・。」
ベン「ボウズより敵さんの方がここの地理は遥かに詳しいだろ。
それに姐御が重傷食らう相手・・・・・・やり手の錬金術師もいたな。」
ヴィオラ「ああ、確かに・・・・・・地面を色々と・・・・・・。」
ベン「・・・・・・それだ。」
リア「まさか、僕達が入って来ている事には既に気付いていると・・・・・・。」
ヴィオラ「くそっ、村が!!!!!」
ベン「・・・・・・全員で戻るか?」
リア「僕が残ります。全員で戻れば、恐らく相手の親玉格は二人組、以前の襲撃の際は一人だけが来ました。
三人で出れば・・・・・・僕達より先を越される可能性が高いです。」
ヴィオラ「すまない、頼むよ、リア!!!!!」
ベン「行くぜ姐御・・・・・・子供等を好き勝手させるかよ。」