
No.14 えこひいきしすぎだ司祭様
ウィンリィ「びっくりしたぁっ・・・・・・最近いろんな人と会うわね。どうしてルムフェナが看護師やってるの?」
ルムフェナ「エ、エドワード様の専属看護師として、一時的に・・・・・・。」
エド「って言っても、明日で退院予定だけどな。やっとこの薬臭ぇ病室ともオサラバできるぜ。」
ルムフェナ「・・・・・・え?」
すっかりルムフェナはその気になっていたのだが、エドは明日になれば退院してまた新しい旅に出てしまう。
せっかくエドと会えたばかりなのに。ルムフェナは驚きの顔を隠しきれなかった。
ウィンリィ「これからは、入院しないようにしてよね!!!」
エド「わかってるって。俺だって強くなったんだ。」
ルムフェナ「エ、エドワード様!!!!!何かして欲しい事はございますか!!!!!???
肩でもお揉み致しましょうか!!!!!???腰のマッサージも致しましょうか!!!!!???
よろしければ、私に何なりとお申し付けください!!!!!」
エド「う、え、え・・・・・・?」
弾幕のように繰り出される、ルムフェナのエドに対するサービス精神。
エドと時間を共有できる間に、できる限りの奉仕をしたいと思ったのだ。
アル「兄さん、せっかくなんだから受けてあげなよ。
ここ最近いろんな人がお見舞いに来たから、満足に休めなかったし。」
エド「ん、んじゃあ・・・・・・治療に専念して少し身体動かしてなかったから、こってるかも知れねぇんだ。
悪いけど・・・・・・肩と腰と足、マッサージ頼んでもいいか?」
ベッドに仰向けに横たわり、入院で鈍っていた身体をルムフェナが揉み解していく。
その力はエドに心地よい眠気を誘うには十分で、とてもリラックスしているようである。
ルムフェナ「お力加減はどうですか、エドワード様?」
エド「・・・・・・くーっ・・・・・・。」
ルムフェナ「エ、エドワード様・・・・・・?」
アル「兄さん、寝ちゃったみたいだね。そっとしてあげたらいいと思うよ。」
ルムフェナ「し、しかし、エドワード様は止めて欲しいとは言ってませんし・・・・・・。」
ウィンリィ「十分堪能したって事。ルムフェナも休んでたっていいわよ。」
ルムフェナ「で、では・・・・・・そうさせて頂きます・・・・・・。」
ウィンリィ「あたし、ちょっと機械鎧の部品調達してくるわ。」
アル「じゃあ、僕も少し本でも読んでくるよ。」
ルムフェナ「は、はい!!!!!」
アルとウィンリィはエドが眠っている合間に、それぞれの事情を作って病室を出た。
病室の中はエドとルムフェナの二人きり。ルムフェナの視線はすぐにエドの方向へと向き直る。
ルムフェナ「(・・・・・・エドワード様・・・・・・よほど疲れていらしたのでしょうか・・・・・・)」
仰向けのまま眠っているエドの傍らに座り込み、その気持ち良さそうな寝顔を眺める。
しばらく見る事の出来なかった本物のエドだけに、ルムフェナからは自然と笑顔が生まれる。
ルムフェナ「(・・・・・・だ、誰も見ていないですし・・・・・・いいですよね、このぐらいなら・・・・・・)」
誰もいないのに辺りを見回してしまい、静かにエドの頬へと唇を近づける。
顔は右を向いていたので、頬への口付けは容易である・・・・・・この程度なら許してもらえるだろうと思っていた。
「チュッ・・・・・・。」
ルムフェナ「・・・・・・ごめんなさい、エドワード様・・・・・・。」
「・・・・・・近付いています。」
ルムフェナ「えっ!!!!!???」
突然の声に赤面して病室を見回しても、何も姿は見えない。
その声はルムフェナの脳へと直接響いていたのだ。
「貴様は運命の渦中にある。逃げる事は出来ない。」
ルムフェナ「は・・・・・・はい・・・・・・?」
「その時が来て、気付いたならば・・・・・・御呼びください。」
「いずれ時は来る。その時は・・・・・・覚悟を決めておけ。」
その言葉を最後に、声は聞こえなくなった。ルムフェナには全てが謎のまま。
突然現れた重い少女の声、聞き覚えのある懐かしい声。それらがどのような未来を暗示するのか。
彼女はこの時まだ決して避けられようの無い宿命を背負おうとは思わなかった。
その時はただ緊張のために聞こえた幻聴と思って・・・・・・。
ルムフェナ「エドワード様、御夕飯お持ちいたしました。」
エド「サンキュー・・・・・・おっ、うめぇ!!!!!」
ルムフェナ「メニューに私が少し手を加えさせていただきました。シチューも付けておきましたよ。」
エド「気が利くな、ルムフェナって。」
ルムフェナ「え、私、そんな事は・・・・・・。」
アル「(普段そんなセリフ吐かないじゃんか、バカ兄)」
エド「(あ・の・なぁ・・・・・・グレんのも大概にしろ!!!!!)」
「ニャー・・・・・・。」
空洞のはずのアルの鎧の身体の中から聞こえた生き物の鳴き声。
さらには身体の中を引っかく音まで聞こえてくる。
エド「バカ弟。俺、ネコ拾っていいぞって言わなかったろ。」
アル「ええーーーっ、一匹ぐらいいいでしょ・・・・・・。」
ルムフェナ「あらまぁ、アルフォンス様は優しいのですね・・・・・・よろしければ、見せていただけませんか?」
アル「うん、いいよ。兄さん・・・・・・いじめちゃダメだからね。」
アルの身体の前面部分を開け、中から淡い金色の毛並みのネコが出てきた。
目つきは少し鋭く、外見からは少し喧嘩っ早そうな印象だ。
「にゃぁっ、にゃぁっ・・・・・・。」
ルムフェナ「まぁっ、かわいい・・・・・・!!!!!」
アル「だよねぇ!!!!!」
ルムフェナ「何だか、とても端正なお顔立ちで・・・・・・エドワード様のようです・・・・・・。」
エド「俺はネコの顔と同レベルか!!!!!???」
ルムフェナ「あ、も、申し訳ございません!!!!!決してエドワード様を皮肉るつもりで言ったわけでは・・・・・・!!!!!」
アル「兄さんがこのネコみたいなかわいい顔にはなれないよ。」
エド「アル!!!!!」
ルムフェナ「あ、でも、その・・・・・・エドワード様のお顔立ちは、とても眼に力が入っておられて、
何事にも負けないような印象を持たせられますし、それでも優しく微笑まれる時には、
無邪気な少年のように優しくて温かみのあるお顔で・・・・・・。」
アル「でも兄さん、よく街で柄の悪い人とぶつかっちゃうと・・・・・・。ケンカになっちゃうんだよね。ほら、こんな目つきだから。」
エド「俺の実力を知らないで挑んでくる方が悪いに決まってんじゃねぇか。」
ルムフェナ「そうですよ、常に丸い心を持って人と接すれば争い事は・・・・・・。
あ、エ、エドワード様の事を責めているのではありません、も、申し訳ございません!!!!!」
エド「あ、ああ・・・・・・謝らなくてもいいぞ。」
アル「兄さんもネコ飼いなよ。心が丸くなるし、ハゲにくくなるよ。」
夕食を食べ終え、エド、アル、ルムフェナの3人は久々に楽しく語らい合って時を過ごした。
ルムフェナにはその時の流れがわからなかった。エドと語り合うことが楽しかったから。時は過ぎ、院内の就寝時間が訪れる。
ルムフェナ「エドワード様、御用があれば何時でもお声をかけてくださいね。おやすみなさいませ。」
エド「あ、ああ、お休み。ここにいんのか?」
ルムフェナ「エ、エドワード様がご希望であれば、お席を外させていただきます。」
エド「じゃあ、アル・・・・・・ちょっと席外してくれないか?」
アル「えっ、ぼ、僕・・・・・・兄さん。ベンさん言ってたよね。
『若い男女二人が共に一夜を過ごしてマトモな事はねぇ、特にテメェの場合は』って。」
エド「あ、あのなぁ!!!!!変な事考えてねぇよ!!!!!」
しぶしぶアルは気持ちを沈ませながらも、エドの病室を出る。
病室にはエドとルムフェナの二人っきり、ルムフェナの心臓は波打っていた。
エド「ルムフェナ・・・・・・なんで中央に来たんだ?」
ルムフェナ「エ、エドワード様のグッズを・・・・・・。」
エド「・・・・・・ウソなんかつかなくたっていい。こんなルムフェナ付きのキーホルダーって言うか俺のグッズは、
国内探しても見つからないから・・・・・・よかったら、教えてくれないか・・・・・・。」
ルムフェナ「エ・・・・・・エドワード様ぁぁぁぁぁっ!!!!!うあああああぁぁぁぁぁんっ・・・・・・!!!!!」